『大崎上島』を写真と紀行文で紹介 | 島プロジェクト

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ReportNo-18.png大崎上島
8港を抱える瀬戸内の分岐点

大崎上島Ohsakikami-jima

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▲長島からの眺め
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▲住宅地奥まで続く船入
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▲海と島の歴史館の大望月邸
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▲白水港
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▲木江歩きは宝探しのよう
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▲中ノ鼻灯台
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▲四国まで望める神峰山からの眺め
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▲明石港からの道
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▲外浜海岸からの夕景

大崎上島は以前、大崎下島御手洗へ行く時に一度来ている。下島へ渡るため、飛び石を踏むように通り過ぎただけの島を再訪するのに、4年もの月日が流れていたのに驚いた。安芸津港で8時5分発の第十五やえしまに乗り込む。大崎上島大西港までの35分は、左右に島を眺めながらデッキで過ごす。向う先に高い煙突が目立つのは、大崎発電所のある長島。上島とは全長402mの長島大橋で結ばれている。古墳が残る長島。橋などない太古に上島とはどんな交流があったのだろう。

まずは大西港周辺をそれぞれ回ることにした。内陸を避け沿岸をゆくとみかんの選果場があった。早生みかん出荷時期とあり、次々とみかんを積んだ軽トラックがやって来て活気づいてた。積荷は手際良くパレットに下ろされ、それをフォークリフトが積んでゆく。無駄の無い一連の動きにしばし見入った。選果場の他に歩いてみて印象に残ったのは、住宅近くまで深く入った船入りと、庭や軒先に咲く皇帝ダリアの風景。港前に再集合し、時計回りに島内の港を廻ることに決める。

白水港へ向う中、広島商船高専と同校練習船広島丸が見えた。島で船乗りが育つ。それだけの事にロマンを感じた。矢弓で『海と島の歴史資料館』に立ち寄る。長屋門を構える大望月邸は、明治の建築技術を今に伝える廻船問屋の遺構。中に櫂伝馬と望月家の歴史を紹介している。母屋は木組みのみで建てた地獄造りと呼ばれ、2階は造船も手がけた豪商らしくその技術を用いた三方船がい造りと力強い外観。広間に座って茶室もある立派な庭を眺め、ひとときの豪商気分を味わった。

白水港は竹原からのフェリーが着く綺麗に整備された港。大半が埋め立て地だというのに納得だ。町役場が隣接し、大崎上島の玄関口といったところか。白水港前に船島があるが、近世から大正の頃まで造船の島だったものの、昭和44年に無人島化したそうだ。同じくフェリーの着く垂水港前には、島全体が自然休養村という生野島。藩の放牧地であった頃は馬島と呼ばれ、発見された古墳から2000年前から人が住んでいたという。次の港鮴崎もまた、目の前に島がある。

鮴崎港は目の前に佐組島が防波堤のように横たわる天然の良港。東北端に位置することから島頭と呼ばれていたようだが、湾内でメバルが良く釣れることから、いつの間にか鮴崎となってしまったという。山に沿って細長く続く集落は静か。土生商船の高速船が寄港しているが、竹原港からの貨客フェリーが垂水港に移ってからは、賑わいも移ってしまったようだ。佐組島は、昭和46年に無人島化している。きっと昔は向き合う島々と支え合う関係が成り立っていたのだろう。

愛媛県大三島と向き合う島の東側を南下し、天満港木江へ。木江の天神通りには、大正・昭和の古い木造建築の町並みが残っている。二・三階の手すり、軒下の笠付きの外燈が外観上の特長だという。閉ざされた店が並ぶ通りに寂しさは隠せないが、雑多な現代にない空気感が心地よい。寄港地、風待ち潮待ちの停留地として栄えた賑やかしき頃を想像しながら気ままに歩き、わずかな当時の名残を見つけ写真に切り取る。今回、個人的に一番楽しみにしていた地区を満喫した。

中ノ鼻灯台は、明治27年から改修を受けつつ瀬戸内を見守り続ける。明治期の物造りの確かさに感心。円形石造の外観は、今の灯台にない魅力を放っていた。
灯台の立つ高台を下り、3カ所の展望台から115の島が望めるという標高452mの神峰山へ向う。クルマで途中まで登ることができ、駐車場には展望デッキもある。そこからの風景も十分だが、徒歩で山頂へ。観光案内通り、東に四国へ連なる島々、西にとびしま海道を構成する島々と、瀬戸内海らしい見事な風景が広がった。

4年ぶりの明石港。大崎下島への船を待つ間に少し散策をしたせいだろう。
夕暮れ迫る中でも、落ち着いて歩くことができた。前回の失敗作を撮り直そうと思い、記憶を試すように路地を進む。二度目で懐かしいとは言い過ぎか。目的の鐘楼を撮り終えて港に戻る。岡村島は目の前。渡れば、とびしま海道で本土と陸続きだと思うと、複雑な心境になった。しかし、架橋されないが故の魅力がその一方にあり、観光という点において、それは他島に比べ大きな利点だろうと思い直した。

三日月形に1km続くという外浜海岸で夕焼けを眺め、一日を振り返る。急ぎ足で島内を廻り感じたのは、大崎上島は様々な娯楽に対応できる島だということ。
港の多さは、島が古くから瀬戸内交通の要衝であったことを語る。臼島周辺は瀬戸内の魚が産卵に訪れる所であり、隣接する大崎下島と上蒲刈島とで囲む海域は好漁場だという。豊かな自然に人と魚が集い、果実の収穫を楽しみ歴史と文化に触れる。
ここは『瀬戸内の宝島!』と観光案内で謳う通りの島なのかもしれない。

文/ナワタミツル
参考資料/日本の島ガイド シマダス 芸南地方 瀬戸の島

-大崎上島DATA-
◎所在地/広島県豊田郡大崎上島町
◎面積/38.34k㎡

◎宿泊施設/あり
◎お食事処/あり
◎公衆トイレ/あり
◎駐車場/あり
◎島内交通手段/あり
・町内バス(循環線)
・町内タクシー


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