高根島・生口島
国宝が見守る2つの島
高根島 & 生口島/Koune-shima & Ikuchi-jima
▲特産の柑橘色した高根大橋
▲高根島の大部分を柑橘畑が占める
▲瀬戸田町農協高根支所
▲しおまち商店街。昭和の雰囲気を醸し出す
▲港側には明治初期の建物がいまなお残る
▲高さ4mもある石造りの常夜灯
▲向上寺周辺で咲き誇るツツジ
▲国宝『向上寺 三重塔』
▲サンセットビーチの夕焼け
▲薄暮の沢港にてフェリーを待つ
今回訪れたのは高根島(こうねしま)と生口島(いくちじま)からなる広島県尾道市瀬戸田町。『しまなみ海道』を通って訪れることもできる瀬戸田町だが、選んだのは海路。広島県三原市の須波港からフェリーに乗り、生口島沢港まで20分の船旅だ。実はこの航路、2009年11月までは三島観光汽船が運航していたが、営業継続が困難となり航路廃止寸前にまで陥っていたところ、同年12月に須波航路サービスが運営を引き継ぐかたちで、なんとか航路廃止を免れたという経緯をもつ。今回、しまなみ海道を通って訪れる陸路ではなく、迷わず海路を選んだのも、メンバー全員がその経緯を知っていたからでもあった。
沢港に降りてまず向かったのは高根島。柑橘栽培が盛んな地域にちなんでだろう、オレンジ色に塗られた『高根大橋』を渡り、生口島を左に眺めながら海岸線を進んで島を一周した。高根島はみかん栽培が盛んで、島の大部分を柑橘畑が占めている。
そのため、島を一周したといっても、高根大橋周辺の集落地以外はほぼ柑橘畑が続くわけだが、海岸線は綺麗に整備されて運転しやすく、瀬戸内海の穏やかな風景と心地よい潮風をゆっくりと堪能できた。高根島の見所と言えば、まず『日本の灯台50選』に選ばれた『高根島灯台』があげられるが、滞在時間の都合上、今回は見送ることとなった。集落地はというと、大正から昭和初期に建てられたと思われる端正な家が多く、一軒一軒の規模も大きい。また一つ一つの通りが広くゆったりしているのも印象的だった。
午後からは予定通り生口島に戻り『しおまち商店街』へと向う。生口島は大きく、見所も多い。島全体を見渡せば、十三重石塔(重要文化財指定)で有名な『光明坊』や、お願いすれば老後はお嫁さんの世話にならずにすむという『嫁いらず観音』、江戸末期の屋敷が残る『中野旧家群』など、行ってみたい所はたくさんあるのだが、今回はしおまち商店街を中心に散策することにした。
訪れた際の懸案事項として上がっていた駐車場とその料金も、嬉しいことに無料の駐車場が平山郁夫美術館近くに用意されてあり、時間を気にする事なくゆっくりと散策することができた。
しおまち商店街は耕三寺から瀬戸田港までの約600mで形成され、両側の入り口付近には『しおまち商店街』と書かれたゲート型看板が設置されてある。まずは駐車場から観光案内所によって、その耕三寺側のゲート付近で各々別行動をとった。ゲートをくぐりまず目が向くのが『乾物屋 龍宮城』。奥さんの明るいかけ声とご夫婦の知り合いの作家さんが描いた味のあるPOPがお店をいろどる。
そこからコロッケで有名な『岡哲精肉店』で噂のコロッケを食べ、途中途中で気になるお店に寄りながら商店街端にある『歴史民族資料館』まで足を進めた。
この辺りは江戸後期から明治初期の建物が残り、昭和の雰囲気を感じる商店街とはまた違ったノスタルジーを感じる。江戸末期に栄えた豪商三原屋の塩蔵だった資料館には、ボランティアガイドの方々が(基本的に土・日・祝日のみ)交代で駐在し、館内の説明はもちろん、瀬戸田町の歴史や観光名所などの案内もしてくれる。訪れた時に担当されていた方がとても親切で、一つ一つの事柄をわかり易く説明してくれたのが印象的だった。
資料館をでると、ひと際大きな石造りの『常夜灯』が目に入る。江戸時代の豪商たちが寄進したものらしく、なんと高さが4mもある。そこから瀬戸田港の前を通り、路地裏を抜け、『万徳寺』『法然寺』に立ち寄りながら、楽しみにしていた『国宝 向上寺三重塔』へと向かった。
法然寺からしばらく歩くと三重塔へと続く登山道があり、そこから15分程度登ると潮音山頂上にある見晴らしの良い『潮音山公園』に到着。そこから下りながら『国宝 向上寺三重塔』『向上寺』『生口神社』とゆっくりと見学した。
向上寺の前身『向上庵』が建てられたのが1403年(応永10年)。三重塔はそれから29年後となる1432年(永亨4年)に建てられた。高さは19m52cm。細部までこだわった装飾や彫刻、朱塗りの鮮やかな色調はいまもなお美しいと感じさせるものがある。きっと青々しい夏の緑に囲まれた創建当時は、もっと美しく艶やかで、当時の人々をさぞ圧倒させたことだろう。そんなことを思い浮かべながら山を下り、他のメンバーと合流したのはもう日も傾き出した頃だった。
足早に車に乗り、次に向かったのは生口島と大三島をつなぐ全長1480m、主塔間の距離890mと、斜張橋では世界一の長さを誇る『多々良大橋』。そして、この日最後の撮影ポイント『サンセットビーチ』へと向かった。
サンセットビーチの長さは約800m、『日本の水浴場88選』にも選ばれるだけあり、本当に美しい白浜が広がっている。ビーチには、以前メンバーがブログでも紹介している『島ごと美術館』の作品のひとつ松永真作の『千里眼』を始めとした多くの作品が点在しており、また、NHKで放送されていた人形劇"ひょっこりひょうたん島"のモデルともいわれる『瓢箪島』も見える。
そんなロケーションのなか三者三様に撮影を楽しみ、来島時と同様にフェリーに乗って島をあとにした。
生口島は、いままで島プロジェクトで訪れた中で最も大きい島。候補に上がった時点から一日で島全体をまわるのは無理だとはわかっていたものの、やはり行けなかった地域に後ろ髪が引かれる。
次回訪れるのがいつになるのかはわからないが、可能なら1泊し、行けなかった地域をゆっくりとまわってみたいと思う。
文/中川智晴
参考資料/日本の島ガイド シマダス(財)、瀬戸田おもしろ散歩図
-高根島 DATA-
◎所在地/広島県尾道市瀬戸田町
◎面積/5.57k㎡ ◎周囲/10.8km
◎公衆トイレ・駐車場/なし
◎備考/バスは『高根支所〜瀬戸田港』間
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-生口島 DATA-
◎所在地/広島県尾道市瀬戸田町
◎面積/31.05k㎡ ◎周囲/33.6km
◎公衆トイレ・駐車場/多数あり
◎備考/レンタサイクルあり→詳細ページ
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