『弓削島』を写真と紀行文で紹介 | 島プロジェクト

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ReportNo-07.pngかつて『塩の荘園』と言われた
歴史と自然が息づく島
弓削島Yuge-jima

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▲接岸せずに停泊する船が多い不思議な光景
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▲弓削道鏡伝説が残る『弓削神社』
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▲写生大会が終わり学校へ戻る学童たち
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▲久司浦にある大森神社の鳥居
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▲どの集落も趣のある家々が多い
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▲周回道路。特に北東部の見晴らしは最高
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▲縁起の良いバス名。弓削狩尾で見かけた
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▲弓削大橋を眺め、黄昏れるおじいさん

しまなみ海道を通って因島に行き、家老渡港からフェリーで上弓削港へと渡る。渡航時間約5分。久々の船旅だっただけに、もう少し長く乗っていたいと思いながら下船する。弓削島は大きく集落が離れているので、撮影ポイントを確認するために、ひとまず周回道路を一周してみた。まずは上弓削港をでて、沢津から久司浦方面を通り『大谷桜園』へ向かう。訪れた季節が季節だけに桜は一本も咲いていなかったが、見晴らしも良く、こぢんまりとした雰囲気の良い花見が楽しめそうな公園だった。そこから一路『久司山展望台』へと向かった。

久司山展望台へは途中から徒歩になる。約10分程度の行程だが急勾配で結構つらい。しばらく誰も通ってなかった様で、クモの巣が多かったのも印象的だった。日頃の運動不足が顕著に現れ、年上の二人に大きく遅れて展望台に到着。息も絶え絶えだったが、展望台からの景色でそれが報われたような気になる。展望台からは360度のパノラマが広がり、眼下には弓削島の集落。そして瀬戸の島々が一望できた。特にこの日は天気が良く、これまでに増して瀬戸内海が美しく見える。弓削島と佐島の間を白い航跡を残しながら進む船。弓削大橋のふもとに停泊している多くの船。どうやって上下船するのだろうか? など、それらを見ながら、他愛もない会話をしたりして、30分程度だったがゆったりとした時間を過ごす事ができた。

弓削島に到着する前は、隣接する『佐島』に割く時間がないだろうと予想していたが、思ったより早く一周できたため『弓削大橋』を渡り、佐島へと足を伸ばすことにした。弓削大橋は、平成8年3月に完成した弓削島と佐島を結ぶ全長980mの斜張橋で、弓削・佐島・生名・岩城島の4島を結ぶ「上島架橋」構想に基づいて造られた最初の橋でもある。ゆくゆくは、赤穂根島・津波島を経由して伯方島まで橋で繋げる構想だとか。島民の利便性を考えると致し方ない事ではあるが、こうして島々が橋で繋がれ車で往来するようになるのは、なんだか少し侘しい気持ちを覚える。

弓削島は歴史の古い島で、島内からは旧石器時代後期のナイフ型石器などが発見されており、弓削島にも佐島にも古墳がある。また平安時代頃には荘園としての形が成立してたとされる弓削島は、鎌倉時代以降は京の東寺の荘園となり、室町時代まで大量の塩を献上していた事から『塩の荘園』と呼ばれる様になった。そして、江戸時代以降は海の宿駅として栄えた。島の由来は、蘇我馬子に滅ぼされた物部守屋の系統である弓削氏の人々がこの島に移り住んだ事が由来とされている。

そんな弓削島から佐島へと渡り、海岸線を佐島漁港を経て福羅湾へと抜けた。島らしい雰囲気の町並みに興味を覚えながらも、足早に佐島先端の沖浦まで車を進める。相変わらずの良い天気と、ゆったりとした景観に島時間を感じ、ここで海を眺めながら少し早めの昼食を取り、弓削島へと戻ることにした。私以外の二人は主に下弓削を徒歩で担当するため、下車後、足早に各々の撮影へと分かれて行った。下弓削のメインの被写体は、弓削道鏡伝説が残る『弓削神社』。創建は定かではないらしいが、1311年に記録が残っている浜戸宮がその前進ではないかとされている。

上弓削と海岸線を担当する私は、まず『高浜八幡神社』へ車を走らせた。高浜八幡神社へ到着し鳥居の所まで行くと、なんとも賑やかな声が聞こえてくる。覗いてみると、ちょうど中学生の写生大会中。境内のあちこちで学生達の和気あいあいとした声が聞こえてくるので、邪魔にならないよう、ここでは鳥居だけをおさえて早々と退散し、沢津を少し散策して久司浦へと向かう。しばらく車を走らせると海岸線に『大森神社』が見える。そこで車を降り、大森神社と久司浦の町並みを駆け足で撮影してまわる。瀬戸内海の島らしさを感じる古く趣のある町並みを巡っているのだが、大きい島だけあって、車の交通量も多く、出会う子供達も多い。そのギャップがなんだか面白い。海岸線だけではなく、もっと集落の奥深くまで散策しようと思っていた矢先、あっという間に集合時間が迫ってきた。

いつもの事だが、「せめて1泊できれば!」という詮無き思いが頭を過りつつ、集合場所へと車を走らせる。山間の道を抜け、午前中も通った大谷桜園側の海岸線へと出る。周回道路からの見晴らしは最高で、豊島・高井神島・魚島・江ノ島がよく見えた。途中寄った弓削狩尾では、縁起の良さそうなバス名が書かれてあるベンチを発見し撮影。その後、藤谷で出会ったおじいさんと少し会話をし、新弓削港へと向いメンバーと合流。その後、各々が目星を付けていた夕景夜景のポイントまで移動し、しばしの撮影を楽しんで弓削島を後にした。

担当の上弓削・沢津・久司浦を訪れて感じた事は、古く趣をのある家が多く点在し、ともに歴史を感じる町並みだったという事だ。今回は車担当だったこともあり、終止撮影に専念できずじまいだったけれど、いつかまた訪れ、今度はもっとゆっくりと弓削の町並みを堪能してみたいと思う。

文/中川智晴
参考資料/日本の島ガイド シマダス(財)、他

-弓削島 DATA-
◎所在地/愛媛県越智郡上島町
◎面積/8.61k㎡ 
◎周囲/18.0km

◎宿泊施設/あり
お食事処あり
◎公衆トイレ/あり
駐車場/あり
◎島内交通手段/あり
・バス 
・レンタサイクル( 詳細はコチラ )


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